Gethsemanekirche Frankfurt でのコンサートの記事がFrankfurter Allgemeineに掲載されました
クラシック×ジャズ、技巧がぶつかる出会い
クリストフ・ラウアーと犬飼新之介、ゲットゼマネ教会で音楽の限界に挑む
これは特別な出会いのコンサートだ。クラシックとジャズ、二人の名手が互いの芸術への関心からインスピレーションを得て共演する。サクソフォン奏者クリストフ・ラウアーとピアニスト犬飼新之介は、どちらもフランクフルト在住で、各自の分野で高く評価されている。犬飼は多彩なレパートリーを持つだけでなく、クラシック音楽ではあまり見られない即興演奏の才能も備えている。
この二人の受賞歴のある音楽家が今回初めて共演することになったのは、偶然の産物だった――二人は隣人同士だったのである。観客で埋まったゲットゼマネ教会で、ラウアーは犬飼の演奏を最初にフルートとのデュオで、後にピアノ単独でも聴いたことを語った。音楽だけでなく、隣人の努力もまた、自身にインスピレーションを与えたという。そして二人の個性ある演奏スタイルを照らし合わせ、共通点を探るプログラムのアイデアが生まれた。その後、フランクフルト・ジャズ・イニシアティブがこのデュオに演奏の場を提供した。
1982年生まれの犬飼は、まず東京で学び、その後フランクフルトのHfMDKで研鑽を積んだ。インターネットやCDでも彼の幅広い関心がうかがえ、シューマン、リスト、スクリャービン、ストラヴィンスキー、メシアンの作品を演奏している。しかしラウアーとのコンサートでは、ジャズに近いとされる後期ロマン派からではなく、ハンデルのチェンバロ組曲から演奏を始めた。専門家は、犬飼がスコアの中でどれほど即興を取り入れているかに気づくだろう。一方、一般の観客は、バロックからラウアーの即興演奏への転換を強いコントラストとして感じたかもしれない。
ラウアーは豊かなテナーサウンドで広い音程を飛び回り、旋律的なパッセージを即興で創り出し、細かく回転するモチーフや角ばったリズムのフレーズ、激しい上行・下行を繰り広げる。すべての音域で、時に鋭く、時に柔らかな音色を使い分ける。
共演のベースとして、ラウアーと犬飼はジャズのスタンダードを選んだ。1954年のアーロル・ガーナー作「Misty」から始まる演奏で、ラウアーの精緻で力強く色彩豊かな演奏はクラシックに新たな息吹を与える。ピアノの最初のソロは控えめだが、その後サクソフォンがブルースを奏で、次第に自由で表現力豊かになっていく。次第に二人は楽曲を離れ、犬飼のソロでは透明感から密度のある演奏へと移行し、力強いベースや和音、カスケードを変化させる。二人でダイナミクスや緊張感を生み出し、リズムの絡みや自由な連想を散りばめ、最終的には「Night And Day」にたどり着く。
休憩後も二人は同様のスタイルで演奏を続けるが、スタンダードの解釈は控えめになる。演奏者は個々のスタイルと表現力を発揮し、犬飼は観客に五つの音を求め、それを基に印象的な即興演奏を披露することでエンターテイナーぶりも見せた。
―ノルベルト・クラフフ
昨日2025年1月10日 ARTFORM田町サロン(浜松)でのコンサートプログラムは以下の通りです。
お越しいただきありがとうございました。
⚪︎フィリップ・ゴーベール
ファンタジー
⚪︎ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
ハープシコード組曲 第1集 第5番 ホ長調 HWV.430
⚪︎ガブリエル・フォーレ
コンクール用小品
⚪︎フランツ・リスト
3つのノクターンより第3番『愛の夢』
⚪︎ニノ・ロータ
5つやさしいの小品
親指の散歩
セレナータ
パヴァーナ
ひなを抱えためんどり
おもちゃの兵隊
⚪︎フランツ・リスト
無調のバガテル
⚪︎アレクサンドル・スクリャービン
ピアノソナタ第4番 嬰ヘ長調
⚪︎︎ ルーカス・フォス
3つのアメリカの小品
アーリー・ソング
献呈
作曲家の休日
<アンコール> 犬飼新之介/即興演奏
ヘンデル/ オペラ『リナルド』より「私を泣かせてください」Lascia ch'io pianga
⚪︎イサーク・アルベニス
タンゴ(ゴドフスキー編)
⚪︎ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
ハープシコード組曲 第1集 第5番 ホ長調 HWV.430
⚪︎犬飼新之介
即興演奏
⚪︎イサーク・アルベニス
組曲イベリアより
エルプエルト
ロンデーニャ
トゥリアーナ
⚪︎フランツ・リスト
3つのノクターンより第3番『愛の夢』
⚪︎フランツ・リスト
無調のバガテル(調性のないバガテル)
⚪︎犬飼新之介
即興演奏
⚪︎アレクサンドル・スクリャービン
ピアノソナタ第4番 嬰ヘ長調
⚪︎フランツ・リスト
リスト :歌劇 「ファウスト」のワルツ(グノー) S.407
<アンコール>
⚪︎チャイコフスキー
四季より11月「トロイカ」
⚪︎リスト
ラ・カンパネッラ